「僕の小規模な奇跡」、感想。

51f6UG1_SDL.jpg


あらすじ
「あなたのこと全く好きではないけど、付き合ってもいいわ。その代わりに、わたしをちゃんと守ってね。理想として、あなたが死んでもいいから」彼女に告白し、そして奇妙な条件付きの返事をもらった瞬間から、僕は彼女の為に生きはじめた。この状況が僕に回ってきたことが、神様からの贈り物であるようにも思える。この結果が、いつの日か、遠い遠い全く別の物語に生まれ変わりますように。

読み終わったのは一週間以上前なんだけど。引っ越してきてきてからネット回線整ってなかったんで更新出来なかったんっすよねぇ。たとえネット環境整ってても、仕事のせいであんま記事更新してる余裕なさそうだったけど。

という訳で例によって(?)入間。結構前にこの作品の冒頭を読んで、なんだか妙に頭に残っていてな。入間の作品だったのは確かだけどなんだったかなーと思いながら適当に本屋で探してて今更見つけました。入間はさ、冒頭っつーか掴みの文章書かせるとうまいよな。たとえ物語全体の評価が凡作以下でも許せちゃうもん。

今作はなー、入間お得意の群像劇? のようでいて。基本的に変人兄妹二人だけの視点だから群像といえるかどうか……。冒頭の僕(二十年前)に興味を引かれて買ったんだけど、それ以降出番もなく。残念な気持ちになってしまった。後々にどんな風に影響していくんだろ~、なんて思ってたけど。それもあってもなくてもそんな変わらないようなレベルだし。なくてもあまり変わらないような……。
メインカプ二組の話も、何か根底にテーマやドラマがあるという感じでもなく。なんだか空疎な話だったなという印象。


満足度:★★☆☆☆
★2はさすがに低すぎかなぁと思うんだけど。★3を上げるのも躊躇われる出来。最初の話だけなら★4~5はあげれる。

「メルヘン・メドヘン」、感想。

512Jk0CUUzL.jpg


あらすじ
鍵村葉月は物語をこよなく愛する、妄想過多な正統派ぼっち少女。
家族との関係もうまくいかず、物語の世界に逃げ込む日々を送っていた。
ある日の放課後、ファストフード店で読書に励もうとした葉月は、全身をローブで覆った少女に出会う。
しかも、その少女は葉月以外の人には見えないようだった。
葉月は「魔法使い」に会えたと喜び、友達になってほしいと申し出るのだが、少女は驚き逃げてしまう。それを追い、たどり着いた図書館にはある学園への扉があった。
その扉の先にあったのは、世界中の童話の「原書」に選ばれた少女たちが「原書使い」(=メドヘン)になることを目指すクズノハ女子魔法学園。そして、葉月は『シンデレラ』に選ばれたと告げられるのだが――!
「原書」と共に自らの「物語」を紡いでいく、夢と魔法と青春のファンタジー、開幕!


「パイコキ」、「迷い猫」で有名な松智洋氏の新作。著者はつい最近亡くなったばかりなのだが、インターネッツゴーストとなって今なお作家業を続けているのだ。今の時代。PCさえあれば生きてなくても小説は書けるんです! ……というのは冗談で。作者が所属していた創作集団、「Story works」の方が代筆してるみたいです。僕自身松先生に思い入れがあるのか、と問われると。微妙なラインですね。だって僕。代表作2作とも読んでいませんもの。アニメは観ましたけどね。じゃあなぜこの作品を買ったかといえば。話題だからどうこう関係なく。例によって百合ブックスだからです。僕が本を買う理由なんて百合だからで事足りてしまうんですよ。

という訳で本書の感想。この物語。一言でいえば逃げぐせのある少女が、自分だけの物語を見つけるまでの物語であり。ヒロインの静ちゃんに告白するまでの物語です。振り返って考えると、主人公の成長に重きを置いた話だったのかなぁと。
最初は文章も物語も軽くて、いまいち世界に入っていけなかったんですけど。終盤は文句なしに熱いし感動できるものでした。
直ぐに物語の世界に逃避してしまう主人公が、静と出逢い。静と仲良くなるために一歩を踏み出し。最後は静に告白する為に自らを危険に晒す。
今迄物語を自分の逃避先としてしか観てなかった主人公が、「アンタが読んでる本に自分のことは書かれていない」という科白に気付かされ。自分自身が主役の、自分だけの物語を創造する。
バトルロイヤル魔法少女モノで、争いではなく相互理解による決着を図るというのは。松先生の人柄というか優しさが出ている気がします。


全体的に見れば、脳内お花畑みたいなお話でしたし。それこそ子供が読む童話のようにご都合主義的な解決法かもしれないんですけど。この物語はそれでいいんですよ。誰もが幸せになれるハッピーエンド。それはきっと、望めば手に入るものなんですから。


満足度:★★★☆☆
途中まで★2かな~なんて思ってたんですけど。読後感は良かったし少女の成長物語として筋が通ってたので★3つ。でも続きを買うかと問われると……微妙。続刊前提のラノベではつかみが最重要なので、一巻時点で★4いってないのはキツイ。


「少女妄想中。 」、感想。

61NXBN2qI5L.jpg


あらすじ
好きになったのが、“あなた”だっただけ。

「こういうのが初恋なんだなって、思いましたっ」
いつも背中を追いかけていた、あの人への『憧れ』。夢の中で一緒に過ごした、海辺でのあの子との『友情』。傷つけてしまったあの人への、伝えられない内緒の『想い』。私の好きな人は、私以外の人も好きなのだろうか。たくさんの人と物の中で、その女の子を好きになっただけ。もどかしい想いを描く、少女たちの可憐な物語。


安定の入間で百合な短編集(群像劇?)。表紙もその手の筋では有名な仲谷さんだし、ど安牌ですよ。これで外れたら桜の木の下に埋められてもいいくらいの。

っていうかいつから僕はこんな入間好きになったんだ。ここ数年の作品だったら結構買ってるぞ。ラノベ方面というよりメディワ方面だけど。入間の代表作であるみーまーは一巻でいいやとなり、電波女も結局まともに読んでないから。入間ニアを名乗る気はないけどね。

で、本編の内容について。今作は全体的に淡く透徹とした、幻想的なお話だったかなぁと。物語自体は多少ファンタジー色が織り交ざったものとはいえ、現実に即した舞台なんだけど。情景としては水に溶ける絵の具みたいな感じだったかな。

そういう意味では文章面でちょっと物足りなさは覚えたんだけど、話としては綺麗にまとまってたから良し。
一話目の決して届かない幻想を追いかける女の子の話は、物語の起点となる話なんだけど。主人公自身が囚われ追いかける背中と。自分を見てくれない主人公に片思いし続ける幼馴染の関係が切ない。互いが互いに違う方を向いているから、決して交わることのない。空と海のような関係、とはよくいったものだ。夜中三島(主人公)のお布団に忍び込む芹ちゃんとかね。せめて寝ている時ぐらいは彼女の背に追いつきたい、触れ合いたいっていう気持ちが感じ取れてね。悶ちゃったよ、おじさん。

そして二話。ここでちょっと話が分からなくなるというか。茫洋として前話とのつながりが分かりづらくなるんだけど。言ってしまえばこれも今作のテーマであり軸としてある恋(夢)のお話なんだよね。いってしまえば夢(恋)を追いかけ続けるっていうテーマの短編集(?)だから。芹が望んだ夢の世界。そこには確かなものは二人だけで、だからこそ彼女は自分を見てくれる。ずっと繰り返しの日々が続けばいい。それが芹の願いであり夢なんだけど。自分のことを見向きもしない。どこか遠いところを眺めている三島を芹は好きなんだよ。だからこそ最後は夢を終わらす。悲哀の滲む笑みで彼女を送り出すんだよな。

そうそう何気に今回の話(特に1,2話)にはゲストとして「虹色エイリアン」のカナエが出てきてるんだけど。ゲストキャラとしては思った以上に物語に関わってきてたよね。普通にこの物語のキャラ一覧に乗れるくらい。追いかける三島と待ち続けるカナエ。共に間を埋めようと走る二人には感じ入るものがあるのだろう。

そして今作で1番好評であるところの三話。ここで一気に時間飛ぶよね。決して届かない彼女という夢を諦めた芹と、その姪の恋物語。甘酸っぱいおねロリだった。陰がある年上の女性と女子高生って。まさに「性癖! 女! 女! 女!」って感じのパワーがあったね。夢の終わりから始まった恋。代償、諦観、欠損、獲得。切なくて人生そのものを考えさせるお話だった。


という訳でど安牌の百合短編集でした(4話はエピローグみたいなものなのでスキップ)。読んでる時はそうでもないんだけど。入間の話は読み終わった後に色々と考えるというか。テーマ性みたいなのにふっと気付くんだよね。テーマ性を強く主張しない作風というのも、親しみ深くて好きだよ。


満足度:★★★☆☆
★4つけてもいいんだけど、それだとなんか入間に甘い気がするから★3。



「ポッピンQ ~ポッピン・ドロップ~」、感想。

718VoYPl9YL.jpg


あらすじ
ふしぎな世界「時の谷」へ飛ばされた5人の女の子たちが出会ったのは、ダンスの力で時間を動かす可愛らしい「ポッピン族」。どんなポッピン族にも、しゃべらなくても心が通じあう運命の相手「同位体」が1人だけいるという。伊純の相手はポコン、蒼はルチア、小夏はダレン、あさひはタドナ、そして沙紀にはルピイ。世界を救うために異世界に集められた中3の女の子たちとパートナーのポッピン族がひそかにつむぐ、映画では語られなかった5つの甘いストーリー!

去年の年末に観て感動して、おいちゃんこの手の映画めっちゃ好きやねん……。となったので。短編集となる今作も読ませていただきました。でもね、最初に言っておくとね。期待外れというか思ってたのと違かったなぁと。

短編集と書かれているけど、一つ一つの話に起承転結はなく。ストーリーと呼べるものはありません。基本的に映画本編で省かれたちょっとした会話(シーンにすれば5分くらい)の内容が描かれたものといえるでしょう。沙紀や小夏ちゃんはちらっと過去にも触れてますけど。それ以外のキャラは自身の問題と向き合い、パートナーとの親交を確かめる会話だけです。つまり物語としての面白さを求めてはいけない。

もしも本編映画がTVアニメ1クールでゆとりをもってやれてたら、これらのシーンも入ってたんだろうなぁと思うと勿体無い気分になる。数年後でいいんで尺に余裕があるTV版やって欲しいっすよね。


満足度:★★☆☆☆
ポッピンQじゃなかったら★1だったかもしれん。

「パーフェクトフレンド」、感想。

61Nn6l26DVL.jpg


あらすじ
野﨑まどが放つ異色ミステリ、まさかの小学校編登場!

すごーい! きみはぱーふぇくとなフレンズなんだね! 

なになに。あらすじは……え? まどくんの異彩ミステリ小学校編……? いや、拙者この作品しか読んでないんで。そのあらすじ意味ないでしょ。

という訳で百合ストから執拗にオススメされつつも、一番最初に読んだ野崎氏の作品。「死なない生徒殺人事件」がちょっと序盤読んだ時点で主人公が気に食わなかったので読まなくなり。以後まどさんの作品にも手を出してなかったんですけど。一応これ百合作品って噂じゃないですか。幾度となく薦められるとね、百合作品である以上読まなきゃなってなるんっすよ。

そんな本作は、ぱーふぇくとなフレンズが出て来る話ではなく。数学が得意なフレンズが出て来る話です。天才数学少女さなかちゃんが、“友達”とは何なのかを証明する物語だよ!

この作品ね。たしかにね。理桜ちゃんとさなかちゃんは良い百合(友情)だと思うんっすけどね。やっぱ根底にあるテーマは上記でも触れてる通り「友達とはなんぞや?」ってとこなんっすよ。なんとなく、自然に出来上がる“友達”という存在ですけど。実際その友達の定義は? どのような行動が友達といえるのか? 友達の作り方とは? というのを数学的に証明しようと挑戦したのが今作ですね。で、実際式により友達定数なるものも出来てしまうのですけど。この物語の本質はそこからであり、面白い部分もそれ以後なんっすよ。

天才数学少女さなかちゃんが、友達というものを完全に理解した。だからこれ以上学ぶものはないと理桜ちゃんを切り捨てようとするじゃないですか。でもね。心ってのは簡単に割り切れないし、友達ってのは一度なればそれで終わりっていうものじゃないんですよ。答えが出れば終わる問題じゃない。寧ろ答えを得てからが問題なんです。友達に会えないのは、寂しい。友達がいなくなるのは、耐えられない。

そんな当然の心の機微を、さなかちゃんに分からせるお話だった訳です。前半では友達を数学的見地で証明できるかを魅せ。後半では論理で片付けられない。計算し尽くせないものを示す。それがこの物語の構成です。特に終盤。ネタバレになるんっすけど。さなかちゃんが本当の意味での友達という意味を理解したところで、理桜ちゃんが死んでしまうという展開。此方の度肝を抜く流れですし、さなかちゃんに決定的なバグを与えてしまう契機でした。

今迄論理でのみ動いてきたさなかちゃんが、感情で動く。ただ理桜ちゃんを生き返らせたい一心で魔法なんて非科学的なものを信じる。それこそが実地を伴った試験の結果ともいえます。式はちゃんと生きているんです。血が通った式は非論理的な現象を起こし、人はそれを奇跡と呼ぶ。

魔法ですら物理的に可能なことだと考えられるさなかちゃんでも、たったひとつの事象は“奇跡”としか定義しようがない。人を生き返らせるよりも尊く、人生を豊かにするもの。

それは__友達との出逢い。

なんとなく、「不動カリンは一切動ぜず」を思い浮かべました。好きな人の為に、少女が非科学的なものに縋って必死に頑張るっていう共通点あるからですかね。


満足度:★★★★☆
読書メーター
キョウトさんの読書メーター
相互ブログ更新情報
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
オススメラノベ
イリヤの空、UFOの夏〈その1〉 (電撃文庫)イリヤの空、UFOの夏〈その1〉 (電撃文庫)
(2001/10)
秋山 瑞人

商品詳細を見る
旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。 (電撃文庫)旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。 (電撃文庫)
(2008/03/10)
萬屋 直人

商品詳細を見る
ミミズクと夜の王 (電撃文庫)ミミズクと夜の王 (電撃文庫)
(2007/02)
紅玉 いづき

商品詳細を見る
紫色のクオリア (電撃文庫)紫色のクオリア (電撃文庫)
(2009/07/10)
うえお 久光

商品詳細を見る
雨の日のアイリス (電撃文庫)雨の日のアイリス (電撃文庫)
(2011/05/10)
松山 剛

商品詳細を見る
マテリアルゴースト (富士見ファンタジア文庫)マテリアルゴースト (富士見ファンタジア文庫)
(2006/01/20)
葵 せきな

商品詳細を見る
DDD 1 (講談社BOX)DDD 1 (講談社BOX)
(2007/01/10)
奈須 きのこ

商品詳細を見る
空ろの箱と零(ゼロ)のマリア (電撃文庫)空ろの箱と零(ゼロ)のマリア (電撃文庫)
(2009/01/07)
御影 瑛路

商品詳細を見る
AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)
(2008/07/19)
田中 ロミオ

商品詳細を見る
空色パンデミック1 (ファミ通文庫)空色パンデミック1 (ファミ通文庫)
(2010/01/30)
本田 誠

商品詳細を見る
B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる (ファミ通文庫)B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる (ファミ通文庫)
(2010/01/30)
綾里 けいし

商品詳細を見る
機巧少女は傷つかない〈1〉 Facing 機巧少女は傷つかない〈1〉 Facing "Cannibal Candy" (MF文庫J)
(2009/11/21)
海冬 レイジ

商品詳細を見る
ベン・トー サバの味噌煮290円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)ベン・トー サバの味噌煮290円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
(2008/02/22)
アサウラ

商品詳細を見る
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない  A Lollypop or A Bullet (角川文庫)砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)
(2009/02/25)
桜庭 一樹

商品詳細を見る
AKUMAで少女 (HJ文庫)AKUMAで少女 (HJ文庫)
(2007/08/01)
わかつき ひかる

商品詳細を見る
世界の終わり、素晴らしき日々より (電撃文庫)世界の終わり、素晴らしき日々より (電撃文庫)
(2012/09/07)
一二三スイ

商品詳細を見る
カウンター
プロフィール

東 京人

Author:東 京人
感想は主にラノベが中心。ライトノベルとは本格的に読み始めて9年の付き合い。初めて読んだのは12年前くらい。好きなジャンルは百合とゼロ年代だけど、面白そうなら何でも読む。基本文を書くのも妄想するのも何かを作ることも好きなので、自分で小説とかも書いてたりする。

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ツイッター