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「ハーモニー」、感想。

ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
(2008/12)
伊藤 計劃

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あらすじ
21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア”。そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した―それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰にただひとり死んだはずの少女の影を見る―『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点

劇場アニメ化も決まった夭折の作家伊藤計劃さんの「ハーモニー」。やっとのことで読ませていただきました。SF小説はまぁ好きだしちょくちょく読むよ的なことをいっておいて今迄こんな有名な作品を読んでなかったっていうね。まぁ僕は、あくまでにわかなので。

あらすじから百合的アトモスフィアを嗅ぎとって興味をもったこの本ですが。百合的にはノーコメントです。でも、SF小説としてのクオリティは保証しますよ。現実の延長線として、よく作られた世界観で感心してしまいました。なるほど。これは凄い。用語の説明を必要最低限に抑えていても、コチラを納得させるだけの力(背景)がある。可能性としてあり得る、物語として面白い世界。中々出てくる発想じゃないですね。素直に賞賛に値します。

SFと哲学というジャンルは、近代SFでは割りと親和性の高いものだと思うのですが。この作品もかなり哲学よりな内容だったと思います。スペオペとかサイバーパンク系の話でない場合。突き詰めていくと人間の心理を覗くモノに尖っていきますからね。ある種当然の帰結ともいえます。

この作品では『人間』という存在をどこまで外部に任せるか。どこまで外注すれば『自分』というものがなくなってしまうのか。そんな話だったように思えます。ようは「人間を人間たらしめる器官とは何なのか?」、と。最終的に意識すらも全人類から失われてしまうわけですが。それでもそれを『人間』と定義づけることは出来るのでしょうか?そもそも、誰が、どう定義するというのでしょうか?もしも人類が本当の意味で安全で完璧な人間というものを目指すとしたら、そこに人間は必要なくなるのではないだろうか?そこに存在するのは、ただ1つの『社会』という生き物だけではないだろうか。

Q:人が人であるために必要なモノは?

その答えに、皆さんはどう応えるでしょう。正しい答え。そんなものは存在しないかもしれません。でも、それでいいんです。葛藤して、逡巡して。悩み続けるのが人間という生き物であり、その存在の証明なのですから。


最後に。消えてしまった意識はどこにいくのだろうか?死人の魂は、あるかどうかも分からない天上の世界に行くのかもしれない。しかし、生きている人間の意識はどこにいくのだろうか。どこにいけるというのだろうか?意識の抜けた、哲学的ゾンビのような人々だらけの世界の中で。欠落した『意識』というものにどれ程の価値が有るのか。その価値は誰が決めるのか。もしも外側の世界が存在しないなら、その『意識』は何の代替になることもなく。無に帰すのだろう。


とまぁ、色々と考えさせられる内容でした。




満足度:★★★★☆
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Author:東 京人
感想は主にラノベが中心。ライトノベルとは本格的に読み始めて9年の付き合い。初めて読んだのは12年前くらい。好きなジャンルは百合とゼロ年代だけど、面白そうなら何でも読む。基本文を書くのも妄想するのも何かを作ることも好きなので、自分で小説とかも書いてたりする。

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