「ゼロ年代SF傑作選」、感想。

ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1) (ハヤカワ文庫JA)ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1) (ハヤカワ文庫JA)
(2010/02/10)
S-Fマガジン編集部、秋山 瑞人 他

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内容紹介
2002年のJコレクション創刊に続き、2003年のハヤカワ文庫JA内レーベル「次世代型作家のリアル・フィクション」によって、日本SFはゼロ年代の“初夏”を迎えた。秋山瑞人のSFマガジン読者賞受賞作「おれはミサイル」、冲方丁の《マルドゥック》シリーズ外伝、日本SF大賞候補作『あなたのための物語』で注目の長谷敏司による傑作短篇ほか、SFマガジン掲載のリアル・フィクションを中心に、精選した全8篇を収録

なんとなく本屋をぶらついていた時。タイトルに惹かれて思わずこの本を手にとってしまった。思えば僕は一応SF作品を書いていて、SF作品が好きな癖にあまりSF小説を読んでいない事に気がついた。そんなこともあり。これも何かの縁だろうと思い購入を決意した訳だ。しかし、理由はそれだけという訳ではない。収録されている作品群に僕の尊敬している秋山瑞人先生のものや「よく分かる現代魔法」だけ読んで名前を知っていた桜坂先生。そして某所でオススメされた新城カズマさんの「アンジー・クレーマーによろしく」が収録されていると知ったからだ。購入に至るまでの動機としては充分だ。

では感想に入らせてもらおうと思うのだが……その前に一言だけ言わせてほしい。この短篇集。基本的に既存作品の外伝やら後日談がメインになっているのだ。つまりオリジナル作品の方が少ない。勿論オリジナルのものでなくても話が通じるものもあったのだが……。兎に角これから購入予定の方にはそこのところを留意しておいていただきたい。

「マルドゥック・スクランブル“104”」
僕はマルドゥック・スクランブルを読んだ事がないのだが、それでも充分に楽しむことが出来た。流石名の知れた作家である。この作品はマルドゥック・スクランブルの前日談にあたる話らしいのだが……まぁ本編を読んでない僕からすればどうでもいい事である。

ガッチガチのハードSFの筈なのに驚く程読みやすく痛快な内容だった。これぞSFといった感じ。これを一番最初に持ってきたことを素直に褒めたい。

「アンジー・クレーマーによろしく」
かなり期待して読み始めた作品なのだが……正直期待はずれと言わざるをえない。スパルタの件はいらなかったのでは?と思ってしまう。あれのせいで確実にテンポが悪くなっている。本筋自体はどうかといえば。まぁ、割りと楽しめた……かな?最初の語りやらスパルタの話に暈されてあまりお話に集中出来なかった。ただ、情報を売買する近未来の設定やら遺伝子交換やらラストの「俺達の冒険はこれからだ!」やら。思い返してみるとなんだか心に残る作品だった。

「エキストラ・ラウンド」
この作品の本編である「スラムオンライン」は読んでないのだが、それでもこの短篇集の中ではこの作品が一番面白かったと思う。一番SFらしくない作品かもしれないが、それでも一番面白かった事に変わりはないのだ。脇役の、エキストラでしかない者達の幕外でのお話。祭りの後の舞台裏での話といいますか。兎に角これは脇役達じゃないと紡げなかったお話であり、短編だからこそのお話だなと思った。話の締め方も素晴らしい。本編である「スラムオンライン」も読んでみたいと思った程だ。

「デイドリーム、鳥のように」
SF……なのかな?と思ってしまった作品。あふれる厨二病臭。なんというか、超能力バトルものってことでいいのかな?バトルしてないけど。いや、まぁそれなりには面白かったですよ?うん。あ、後里緒君かわいい。結局啓市は男の娘好きってことでいいのかな?

「Atmosphere」
小説の中に紛れ込んだ6Pの短編漫画。ドッペルゲンガーって怖いよね。うん。なんというか、空気な作品。

「アリスの心臓」
なんていうかお前……いい加減にしろ!

全然意味分からんし兎に角目が滑ってしょうがなかった。これが所謂電波系という奴ですかコポォwwwwww

いやーなんだろうねーなんか調理次第では幾らでも面白くなりそうな気配漂ってたのにどうしてこうなったって感じの作品。でもエロ本のくだりだけは面白かった。

「地には豊穣」
ノスタルジックでどこか古風で、そして考えさせられるところのある作品。何とも優美であった。

「おれはミサイル」
安定の秋山さん。兵器にとっての「死」について問うお話。軽いテンポの話だが、ラストがどうも切ない。


とまぁまさに混沌として、玉石混淆な作品集だったわけです。個人的には桜坂先生の「エキストラ・ラウンド」が頭ひとつ飛び抜けて面白かったなぁ、と。それ以外は何だかんだ言いつつもどれも同じくらいの順位です。ただ、Atmosphereだけは単品として評価するならそもそも評価対象外かなって感じ。




満足度:★★★★☆

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Author:東 京人
感想は主にラノベが中心。ライトノベルとは本格的に読み始めて9年の付き合い。初めて読んだのは12年前くらい。好きなジャンルは百合とゼロ年代だけど、面白そうなら何でも読む。基本文を書くのも妄想するのも何かを作ることも好きなので、自分で小説とかも書いてたりする。

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