「半分の月がのぼる空〈3〉 ―wishing upon the half‐moon―」、感想。

1巻→「半分の月がのぼる空 ―looking up at the half‐moon―」、感想。
2巻→「半分の月がのぼる空〈2〉 waiting for the half‐moon」、感想。

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あらすじ
里香の深刻な病状を知ってしまった以上、僕はもう単純に笑うことなんてできなかった。でもさ、だからこそ僕はむりやり笑うことにしたんだ。里香のために。里香に笑ってもらうために。やがて里香が写真を撮ってほしいって言いだした。しかも学校に行きたいなんてことまで。僕は里香の望みをかなえてやろうと、父親の形見のカメラを持ちだし、幼馴染からセーラー服を借りて、みんなと学校へ向かった。一日だけのスクールライフってわけだ。里香はもちろん喜んだよ。彼女の笑顔は最高だった。だけど、そういう幸せな日々がいつまでも続くわけがなかったんだ…。

六年前半月を読んだ時は、確か四巻までしか読んでなかったと言った気がするけど。どうやら僕の記憶違いだったみたいだ。僕が半月を切るきっかけとなった裕一浮気事件の話が今巻だったので、正しくは三巻までしか読んでなかったみたいです。

という訳で感想。もう前巻からしてバッドエンド一直線な雰囲気が漂っていた今作ですが。今巻ではいよいよ里香の手術が行われます。その手術に向けて、裕一と里香の心境が丁寧に描写されているのが今巻の内容。カメラの件とか、学校の件とか。イベントはありましたけれども。僕的に心に残ってるのはそれ以外で4つほどあるんですよね。

一つ目。夏目先生が泣くところ。大の男が泣いてるシーンっていうのはなんかこう心に迫るものがあるんだよな。特に夏目先生みたいな色々過去にあったっぽくって。そんな自分の過去を振りきれてない感じの大人だと尚更。

二つ目は親父の葬式の話。裕一の親父に対する所感と、周りの反応とのズレやそれについてのもやもや感とか。橋本さんはこういう曖昧な心情の機微を描くのがうまいんっすわ。僕自身。爺さまのお葬式とか色々思い出しちゃった。

あれは確か小学生低学年くらいの頃だったっけな。僕の爺さまは中々に酷いというか、僕のことを嫌いだったらしく。いつも僕のことを邪険に扱っていてな。それこそ僕が産まれたばっかの時から仲悪くて、いつ会いにいっても喧嘩ばっかしてた。そりが合わないとかじゃなくて、自分の娘……まぁ僕のおかんなんだけど。が駆け落ち気味に親父と結婚したから、その息子である僕も気に食わないらしい。孫は可愛いもんだろ。もっと可愛がれってんだ。

でな。そんなある時。爺さまが危篤だっつーから見舞いに行ってやったのに全然うれしそーじゃねーの。もうムカついたね。病院の帰り道。すっかり暗くなった夜空にもうこねーよ!って吐き捨ててやりたかったよ。そん時は真冬でめっちゃ寒くて妙に外が静かだったのだけは憶えてる。
で、数日後にぽっくりいっちまった訳だ。僕は全然悲しくもなくてな。葬式の間もずっと足がいてぇとか早く帰りたいとか思ってた。でも周りの人間が皆神妙な面持ちしてんのよ。僕からすれば嫌な爺さまだったけど、他の人は皆立派だったのなんのと言うわけ。まるで僕の知らない人間の話してるみたいだった。お坊さんがお経読んでる間も終始ぼーっとしてたし、火葬して骨拾ってる時も全然現実感とかなくてさ。ほっせー骨だなーとか思いながら骨壷に詰めてたよ。
そんで葬式も終わって大人たちが酒飲んで、用意された飯とか食ってさ。それも終わって家に帰って床についたところでなんか怖くなったんだ。爺さまほんとに死んじゃったのかなって。だって数日前まで普通にもごもご喋ってたじゃん。聞き取りづらい声で飲み物でも買ってこいって病院の売店までパシりやらせてたじゃん。そう思うとなんかさ。すぐ近くに爺さまが立ってるような気がしてくんだよ。早く成仏しろってんだ。それが妙に怖く思えて、僕は早く成仏しろよなんて天井の染みに悪態ついたりしたんだ。そんな気分が一ヶ月ぐらい続いてさ。それ以降は爺さまのことなんて日常生活で思い出すことはもうなくなったんだけど。ふと思うんだよな。爺さまはほんとに嫌なだけの奴だったかなって。もしかしたら、少しぐらい僕に気を許してるところもあったのかなって。一度だけお菓子かってもらったことあったし。まぁ、今更んなこと考えても詮ないことなんだけど。

ってあれ?何の話だっけ?まぁいいか。感想続き。

三つ目な。亜希子さんが注射下手で痛みに強い人と弱い人がいるって話。ちなみに僕はめっちゃ痛みに弱い。確か小学生高学年くらいとき姉と喧嘩して、足の指の付け根がぱっくり切れちまった時。麻酔なしで縫合手術やったらさ。なんかもう痛いとかじゃなくてわけが分からなかった。確かに痛いんだけど痛みよりも自分の身に何が起きてるのかわからないって感じだったよ。縫合手術はこれで二回目の筈なんだけどね(一回目のも姉との喧嘩に負けて怪我した)。

四つ目。裕一の浮気シーン。昔はただただ不快で不要なものに思えたんだけど、今読むとなんか印象が違うんだよな。いや、勿論今でもほんとにいるか?って問いかけたいんだけどさ。なんていうのかな。そういう人間の弱さとか、みゆきさんの気持ちもわかるようになっちまったんだよな。でも年下で遊ぶのはやめろ。

以上。無駄に話がそれまくった感想でした。今回はちゃんと最後まで読みたいな……。


満足度:★★★☆☆
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感想は主にラノベが中心。ライトノベルとは本格的に読み始めて9年の付き合い。初めて読んだのは12年前くらい。好きなジャンルは百合とゼロ年代だけど、面白そうなら何でも読む。基本文を書くのも妄想するのも何かを作ることも好きなので、自分で小説とかも書いてたりする。

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