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「生徒会の周年 碧陽学園生徒会黙示録9」、感想。

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あらすじ
私立碧陽学園生徒会―そこは美少女メンバー四人が集う楽園だが、気づけば十周年。何で会長たちは年を取らないんだろう…なーんて野暮なツッコミは禁則事項ですっ!こいつはめでたいぜワッショイワッショイっていう感じで戻ってきました「生徒会の一存」!担当編集のパソコンの奥深くに眠っていた文庫未収録の超レア短編に加え、ちょっぴり大人になった生徒会メンバーが集まるファン垂涎の書き下ろし作も掲載のお祭り本の登場だ!!日々くり広げられる、ゆるすぎる会話。日々費やされる、青すぎる青春。再びいざ行かん少年少女よ、妄想という名の大海原を!

感 無 量 

とはいっても、なんだかんだでそんな久々感もない生徒会シリーズの新巻。もう完璧に終わった筈なのに何故新巻が? ボブは訝しんだ。

というわけで生徒会シリーズ22冊目。もう一巻発売から10周年ですよ。前巻(祝日)では名残惜しさもクソもねぇと言いつつもちょっとだけ寂しかったりもしたんだけど、マジで続き出るってなると困惑するわ。しつこい……しつこくない? でも買っちゃう。

内容としてはどれも何時も通りの生徒会だし、最早このシリーズについて僕が語ることは一切ないんだけど、なんというか、結構キャラ忘れてるよね! いつもの生徒会メンバーを忘れるようなことは流石にないんだけど、新生徒会メンバーとか正直キャラ薄いし、登場回数少ないキャラは自然と忘却の彼方に……。このシリーズ基本生徒会の面々(五名)が生徒会室で駄弁ってる内容でしかないのに、矢鱈キャラ多いんっすよね……。そして改めていつものメンツでの会議とか読んじゃうと、新生徒会の面々じゃやっぱ力不足だなと。

新生徒会シリーズ。別にいらなかったのでは……?

ま、まぁそれは一旦置いといて。やっぱコイツラの話読んでると高校時代に戻りたくなるんだよなぁ。この雰囲気はこの作品独特ですわ。喋ってる内容がほんと高校生の悪ふざけとか雑談でしかないからさ、そういう気持ちになるんだよ。特に読んでた時期的に丁度中二~高校の範囲にドンピシャだしね。

なんにせよ、今度こそ生徒会シリーズも終わりでしょう。ちょっと郷愁に浸ったりはしたけれど、もうお前とは二度と会うことないだろうな、杉崎。俺はもう碧陽学園から卒業したんっすわ。お前も精々達者でな。


……マジでもう出ないよね?


満足度:★★★☆☆
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「ちーちゃんは悠久の向こう」、感想。

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あらすじ
「ちーちゃんこと歌島千草は僕の家のごくごく近所に住んでいる」――幽霊好きの幼馴染・ちーちゃんに振り回されながらも、「僕」の平穏な日常はいつまでも続くはずだった。続くと思っていた――あの瞬間までは。
怪異事件を境に、ちーちゃんの生活は一八〇度転換し、押さえ込んでいた僕の生活の中の不穏まで堰を切って溢れ始める……。
疑いもしなかった「変わるはずがない日常」が音を立てて崩れ落ちていくさま、それをただ見続けるしかない恐怖を描いた、新感覚のジュブナイル・ホラー。世紀末の退廃と新世紀の浮遊感を内包した、新時代作家・日日日(あきら)、堂々デビュー!!


日日日という作家を知っているだろうか。「ひひひ」ではない。「あきら」である。なんとも読みづらく、また打ち辛い名前である。人を舐め腐ったような名前だ。まぁそれは兎も角。ラノベ読みにとっては「狂乱家族日記」の人といえば通じるだろう。

この時代。僕らの世代に於いて「天才」と言われ思い浮かべる作家。それは各々によって違うだろう。例えば上遠野浩平。例えば桜庭一樹。或いは秋山瑞人、橋本紡。彼らは間違いなく天才である。特に上遠野浩平といえばそれ以降の作家に影響を齎したという意味では白眉かもしれない。しかし、そんな天才たちの中にあって、主観だけでなく客観的な意味でも間違いなく天才と呼ばれる作家。それが日日日である。高校生にして同年にファミ通のえんため大賞(佳作)、角川学園小説大賞(優秀賞)、MF文庫J新人賞、恋愛小説コンテスト、そして今作の新風舎文庫大賞を掻っ攫っていった怪物である。まさに小説を書くために生まれてきたかのような人物。生まれた時点で一般人とはどこかステージが違う。それが日日日だ。

そんな日日日のデビュー作であり、ゼロ年代ジュブナイルとアダルトチルドレンを愛する者には是非読んでもらいたいのが今作だ。

ジュブナイルホラーと銘打ってるだけあり、この作品はまさに「ジュブナイル」の部分と「ホラー」の部分が気持ち悪いくらい噛み合った新種のジャンルである。少年少女達のリアルな日常。主人公やヒロインだけでなく、名前すらない人物にまで感じる人間味。そういったもので構成される世界において、徐々に、しかし確実に日常が侵食され、壊されていく感覚。恐ろしいのは幽霊か、人間か。見えない恐怖と見える恐怖。ただ日常が崩れていくのを見守ることしか出来ない主人公。

幽霊も人間も、本来互いを認識できない。しかし確実に重なり合った世界にいるという設定。オカルトチックなものは本来関わってはいけない領域であり、エンターテイメントに貶めていいものではないという警句。ホラー面に於けるそういった含蓄。

そして主人公とちーちゃんの日常の象徴たる関係性。恋愛感情すら入り込まない、もっと大切で尊いもの。誰かとの未来を思い描け無い少年が、今を守りたいと願った友情。

だからこそ、幽霊の実存よりも、ちーちゃんが悠久の向こうに行ってしまうことが何よりも恐ろしいのだ。

この物語のラストは、正直ものすごくもやもやとした気持ちにさせられる。結局主人公の家庭環境は何一つ改善されてないし、これから主人公が普通に生きていけるかどうかも分からない。ちーちゃんという人間は死んでしまったし、最期のちーちゃんだって白先輩の悪ふざけかもしれない。幽霊も憑依も信じていなかった主人公――モンちゃんが、それでもちーちゃんの存在を信じるならば、彼もまた、悠久の彼方に足を踏み入れたということだ。その先に希望や幸福があるかは……。


満足度:★★★★☆
高校生にしてこの文章を書けてしまうこと。そしてこんな物語を綴ってしまうこと。ほんと恐ろしい才能の持ち主ですわ……。

「スカートのなかのひみつ。」、感想。

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あらすじ
男の娘も、女の子も、そこにはひみつを隠している――。

「面白いものが面白いものを呼ぶんだ。考え方一つで世界が変わる」
高校で同じクラスの八坂幸喜真は、その名の通り“好奇心”に足が生えたような男だ。

謎の棒、植木鉢、そしてボレロ。アイツの行動はいつも何がなんだかサッパリ。
でもそんな“八坂らしさ”が起こすある奇跡のことを、その時の僕らはまだ知らなかった。

「天野、俺たちは飛べるんだ。希望があれば俺たちはどこまでも飛べる!」

世界一の女装アイドル、赤いラインカーの美少女、そして時価八千万円の……タイヤ??
足下を吹き抜ける“蛇の息”が僕(わたし)と私のひみつをさらけ出した時、八坂と“あの子”の愛の物語が幕を開ける――。


ずっと原稿でファンタジーやらバトルやら書いてたんで、こういう青春群像劇を無性に摂取したくなったんっすよねぇ。取り敢えず次は現代舞台の群像劇書きたいですわ。

ということで、無事ガガガ用の原稿が終わり、読書するだけのゆとりが出来たので手に取ってみた次第。

全体の雰囲気としては期待通り最高に青春してるなーって感じで悪くない。女装っ子を取り扱った作品としても、作者が女装に対し真摯なので訴求力がある。特に主人公の女装がバカにされた時の八坂の返しとかね。中々青臭くて熱い。天野くんの女装という趣味に関してプライドを持ってる部分もかっこいい。

文章は軽い感じなんだけどそれが話のテンポと噛み合ってて薄い印象にはならなかった。軽やかで爽やか。青春群像劇というジャンルに合致してる。

途中までは文句なく面白かったし、これなら星4は固いかな~なんて思ってたんだけど、終盤の色々と謎やら伏線が繋がっていく部分はおざなりだったなぁ。年数を暈したトリックなんかは使い方によっていくらでも良くなると思うんだけどね。そこは惜しい。あとはラストに向けての盛り上がりがあまりなかったのも残念。勢いが尻すぼみというか、サビが肩透かしなくらい盛り上がらず、どこがサビなのか分からない曲って感じ。

でもラストページの八坂と丸井さんのイラストで全て許せてしまう。八坂というキャラはホントに眩しくて、でも時に臆病で、高校生らしいカッコつけというか陶酔を醸すキャラなんだけど、どこまでも愛と情熱に溢れるそのキャラクター性は奇抜ながらリアル。天野と八坂というキャラを生み出しただけでもこの作品には価値がある。


満足度:★★★★☆
ということで結局★4つけるのでした。大手レーベルの最終選考作品ってこういう色物っていうか、ともすれば一次落ちでもおかしくないけど色々な奇跡が折り重なって生まれるような作品出してくるから油断ならん。
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しがない編集者。感想は主にラノベが中心。ライトノベルとは読み始めて11年の付き合い。好きなジャンルは百合とゼロ年代だけど、面白そうなら何でも読む。基本文を書くのも妄想するのも何かを作ることも好きなので、自分で小説とかも書いてたりする。

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