「メルヘン・メドヘン」、感想。

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あらすじ
鍵村葉月は物語をこよなく愛する、妄想過多な正統派ぼっち少女。
家族との関係もうまくいかず、物語の世界に逃げ込む日々を送っていた。
ある日の放課後、ファストフード店で読書に励もうとした葉月は、全身をローブで覆った少女に出会う。
しかも、その少女は葉月以外の人には見えないようだった。
葉月は「魔法使い」に会えたと喜び、友達になってほしいと申し出るのだが、少女は驚き逃げてしまう。それを追い、たどり着いた図書館にはある学園への扉があった。
その扉の先にあったのは、世界中の童話の「原書」に選ばれた少女たちが「原書使い」(=メドヘン)になることを目指すクズノハ女子魔法学園。そして、葉月は『シンデレラ』に選ばれたと告げられるのだが――!
「原書」と共に自らの「物語」を紡いでいく、夢と魔法と青春のファンタジー、開幕!


「パイコキ」、「迷い猫」で有名な松智洋氏の新作。著者はつい最近亡くなったばかりなのだが、インターネッツゴーストとなって今なお作家業を続けているのだ。今の時代。PCさえあれば生きてなくても小説は書けるんです! ……というのは冗談で。作者が所属していた創作集団、「Story works」の方が代筆してるみたいです。僕自身松先生に思い入れがあるのか、と問われると。微妙なラインですね。だって僕。代表作2作とも読んでいませんもの。アニメは観ましたけどね。じゃあなぜこの作品を買ったかといえば。話題だからどうこう関係なく。例によって百合ブックスだからです。僕が本を買う理由なんて百合だからで事足りてしまうんですよ。

という訳で本書の感想。この物語。一言でいえば逃げぐせのある少女が、自分だけの物語を見つけるまでの物語であり。ヒロインの静ちゃんに告白するまでの物語です。振り返って考えると、主人公の成長に重きを置いた話だったのかなぁと。
最初は文章も物語も軽くて、いまいち世界に入っていけなかったんですけど。終盤は文句なしに熱いし感動できるものでした。
直ぐに物語の世界に逃避してしまう主人公が、静と出逢い。静と仲良くなるために一歩を踏み出し。最後は静に告白する為に自らを危険に晒す。
今迄物語を自分の逃避先としてしか観てなかった主人公が、「アンタが読んでる本に自分のことは書かれていない」という科白に気付かされ。自分自身が主役の、自分だけの物語を創造する。
バトルロイヤル魔法少女モノで、争いではなく相互理解による決着を図るというのは。松先生の人柄というか優しさが出ている気がします。


全体的に見れば、脳内お花畑みたいなお話でしたし。それこそ子供が読む童話のようにご都合主義的な解決法かもしれないんですけど。この物語はそれでいいんですよ。誰もが幸せになれるハッピーエンド。それはきっと、望めば手に入るものなんですから。


満足度:★★★☆☆
途中まで★2かな~なんて思ってたんですけど。読後感は良かったし少女の成長物語として筋が通ってたので★3つ。でも続きを買うかと問われると……微妙。続刊前提のラノベではつかみが最重要なので、一巻時点で★4いってないのはキツイ。


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「少女妄想中。 」、感想。

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あらすじ
好きになったのが、“あなた”だっただけ。

「こういうのが初恋なんだなって、思いましたっ」
いつも背中を追いかけていた、あの人への『憧れ』。夢の中で一緒に過ごした、海辺でのあの子との『友情』。傷つけてしまったあの人への、伝えられない内緒の『想い』。私の好きな人は、私以外の人も好きなのだろうか。たくさんの人と物の中で、その女の子を好きになっただけ。もどかしい想いを描く、少女たちの可憐な物語。


安定の入間で百合な短編集(群像劇?)。表紙もその手の筋では有名な仲谷さんだし、ど安牌ですよ。これで外れたら桜の木の下に埋められてもいいくらいの。

っていうかいつから僕はこんな入間好きになったんだ。ここ数年の作品だったら結構買ってるぞ。ラノベ方面というよりメディワ方面だけど。入間の代表作であるみーまーは一巻でいいやとなり、電波女も結局まともに読んでないから。入間ニアを名乗る気はないけどね。

で、本編の内容について。今作は全体的に淡く透徹とした、幻想的なお話だったかなぁと。物語自体は多少ファンタジー色が織り交ざったものとはいえ、現実に即した舞台なんだけど。情景としては水に溶ける絵の具みたいな感じだったかな。

そういう意味では文章面でちょっと物足りなさは覚えたんだけど、話としては綺麗にまとまってたから良し。
一話目の決して届かない幻想を追いかける女の子の話は、物語の起点となる話なんだけど。主人公自身が囚われ追いかける背中と。自分を見てくれない主人公に片思いし続ける幼馴染の関係が切ない。互いが互いに違う方を向いているから、決して交わることのない。空と海のような関係、とはよくいったものだ。夜中三島(主人公)のお布団に忍び込む芹ちゃんとかね。せめて寝ている時ぐらいは彼女の背に追いつきたい、触れ合いたいっていう気持ちが感じ取れてね。悶ちゃったよ、おじさん。

そして二話。ここでちょっと話が分からなくなるというか。茫洋として前話とのつながりが分かりづらくなるんだけど。言ってしまえばこれも今作のテーマであり軸としてある恋(夢)のお話なんだよね。いってしまえば夢(恋)を追いかけ続けるっていうテーマの短編集(?)だから。芹が望んだ夢の世界。そこには確かなものは二人だけで、だからこそ彼女は自分を見てくれる。ずっと繰り返しの日々が続けばいい。それが芹の願いであり夢なんだけど。自分のことを見向きもしない。どこか遠いところを眺めている三島を芹は好きなんだよ。だからこそ最後は夢を終わらす。悲哀の滲む笑みで彼女を送り出すんだよな。

そうそう何気に今回の話(特に1,2話)にはゲストとして「虹色エイリアン」のカナエが出てきてるんだけど。ゲストキャラとしては思った以上に物語に関わってきてたよね。普通にこの物語のキャラ一覧に乗れるくらい。追いかける三島と待ち続けるカナエ。共に間を埋めようと走る二人には感じ入るものがあるのだろう。

そして今作で1番好評であるところの三話。ここで一気に時間飛ぶよね。決して届かない彼女という夢を諦めた芹と、その姪の恋物語。甘酸っぱいおねロリだった。陰がある年上の女性と女子高生って。まさに「性癖! 女! 女! 女!」って感じのパワーがあったね。夢の終わりから始まった恋。代償、諦観、欠損、獲得。切なくて人生そのものを考えさせるお話だった。


という訳でど安牌の百合短編集でした(4話はエピローグみたいなものなのでスキップ)。読んでる時はそうでもないんだけど。入間の話は読み終わった後に色々と考えるというか。テーマ性みたいなのにふっと気付くんだよね。テーマ性を強く主張しない作風というのも、親しみ深くて好きだよ。


満足度:★★★☆☆
★4つけてもいいんだけど、それだとなんか入間に甘い気がするから★3。



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Author:東 京人
感想は主にラノベが中心。ライトノベルとは本格的に読み始めて9年の付き合い。初めて読んだのは12年前くらい。好きなジャンルは百合とゼロ年代だけど、面白そうなら何でも読む。基本文を書くのも妄想するのも何かを作ることも好きなので、自分で小説とかも書いてたりする。

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