「さびしがりやのロリフェラトゥ」、感想。

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あらすじ
ぼくらの学校には、血を吸いつくす吸血姫がいる――。クラスメイトたちのあいだでまことしやかに囁かれる噂は、真実だった。理想と現実のバランスに苦悩する高校生作家、常盤桃香は深夜の旧校舎で怪異と出会い、風変わりな姫とおかしな会話を紡ぐことになる。「汝、無礼である。如何なる理由でここを訪れるか?」「おでんを作ったので」「……おでん?」「こんにゃくもあります!」「……こんにゃく?」けれど、ふたりの奇妙な友情は、死体の出現をもって終わりを告げた。常識人的いじめっ子、自爆系宇宙ロボット、そして“正義の味方の敵”のぼく。優雅なる吸血姫を取り巻く人間関係は多角的に入り組んで、表と裏が混じりあい、複雑怪奇な青春群像劇を織り成していく。「だれもが静かに平和に暮らすだけの話を書きたかった」「いいかな? だれもそんな話は読みたくないんだ」――これはぼくたちの悩みを笑い飛ばす物語だ。そして、ハッピーエンドになるべき物語だった。

発売当初。あらすじからどことなく百合的アトモスフィアを嗅ぎ取り、気になってはいた作品だったのだが。「でも作者変猫のさがらだしな……」とパスした作品を今更買って読んだ。僕としては忌避感が強かったものの、食わず嫌いはよくないなと頑張って手を出した次第である。中古で安かったし、冒頭と一章読んだかぎり意外と読めるなと思ったからね。

結果として。まぁ悪くはなかった。というか、変猫の作者という偏見抜きでみればそこそこ良いとすらいえたかもしれない。変猫書いてるような人間がどんな文章書くかと思ったけど。予想よりまともな文章……というか近年のラノベ作家の中では結構良い方だった。物語の展開も一章とその後の話では雰囲気が一変したりして、虚を突かれるものだった。ただ、僕としてはもうちょっと雰囲気を大切にして欲しいというのもある。ギャグとシリアスのバランスがちょっと不格好であべこべな部分があった。一章だけを短編として終わらせてもいいんじゃないかってくらいだ。

百合的視点から見てどうなのかと訊ねられると……まずまず?
作者的にも特に百合意識してないだろうし、作品としても百合作品じゃないんだけど。ショアラと桃香の友情(劣情)は時を超えて紡がれるものだし、結とポチの関係も百合でないにしても大切なものなんだよ。だから僕としてはこの二組の話はもっとみたいなって気はする。

そしてこの作品の本質だけど。この作品はいってしまえば「主観の数だけ真実はある」な話だと思う。あらすじからバッドエンド臭が漂う話だが、僕的にはそこまでバッドな終わりだと思わない。ただ、お前らもっと話しあえば解決しただろ! っていう意見は分かる。でも、話し合って理解しても。究極的にたどり着く場所は変わらなかったんじゃないかなと思うんよ。つまりは、これは回避不能の。決定事項な幕引きなんじゃないかなって。

と、なんだか曖昧な感想になってしまった気がする。でもこの作品自体どこか芯の部分がぼやけているというか。テーマ自体が掴みどころのないものなので当然かなと。

最後に。さがらの作品は(百合作品でもない限り)もう一生読むことはないだろうけど。この作品自体はまだ評価出来る。


満足度:★★★☆☆
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「少女七竈と七人の可愛そうな大人」、感想。

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あらすじ
「たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった」川村七竃は、群がる男達を軽蔑し、鉄道模型と幼馴染みの雪風だけを友として孤高の青春を送っていた。だが、可愛そうな大人たちは彼女を放っておいてくれない。実父を名乗る東堂、芸能マネージャーの梅木、そして出奔を繰り返す母の優奈―誰もが七竃に、抱えきれない何かを置いてゆく。そんな中、雪風と七竃の間柄にも変化が―雪の街旭川を舞台に繰り広げられる、痛切でやさしい愛の物語。

当初は何を勘違いしたのか百合だと思い購入し、「百合ちゃうやんけ!」と少し読んで放置してたのですが。新幹線乗ってる間暇だったので改めてちゃんと読みました。

それでですね。久方ぶりに桜庭さんの文章読んだらね。こんな変わった文章書く人だったかなぁと思ったわけですよ。お話自体は独特のモノを書いてるなと前々からこのブログでも書いてたんですが。今回は文章(というか主人公)も輪にかけて奇特だったなと。親しみやすさはないですけど、僕としては嫌いじゃないです。ただ、話自体は面白くないんですよね。桜庭さんの心情描写や表現技法が高いので最後まで読めましたが。物語自体は特に胸に残るものはなかった。いや、テーマとかは感じられましたよ? でも、それだけ。まぁ暇つぶしに読んだだけなのでいいのですが。

それと、やはりというかなんというか。仄かにかほる百合アトモスフィア。今回ばかりは百合的な匂いもないだろうと思ってましたが。ありましたね。みすず後輩。とんだ伏兵ですよ。川村先輩とみすず後輩。特別な人間と特別じゃない人間。出て行ってしまう人間と留まり続ける人間。そういう対比的な意味でもみすず後輩は重要な役割をもっていたのだと思います。雪風と七竈の二人だけの世界を訪れ、外側から見比べる存在として。

最後に。エピローグ(というかおまけ?)のゴージャスはこの物語に付属されるべき物語だとは思うのですが。締めとして読むには我が強すぎて、すこし時間を置いて読みたい話だったかなと。そのせいで読後感がちょっと微妙なものになっちゃったのかも。七章の「やたら魑魅魍魎」で終わっていれば、切ない青春小説だったなぁと余韻に浸りながら本を閉じれたのですがね。


満足度:★★★☆☆
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Author:東 京人
感想は主にラノベが中心。ライトノベルとは本格的に読み始めて9年の付き合い。初めて読んだのは12年前くらい。好きなジャンルは百合とゼロ年代だけど、面白そうなら何でも読む。基本文を書くのも妄想するのも何かを作ることも好きなので、自分で小説とかも書いてたりする。

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