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「蹴りたい背中」、感想。

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あらすじ
高校に入ったばかりの「にな川」と「ハツ」はクラスの余り者同士。やがてハツはあるアイドルに夢中のにな川の存在が気になってゆく。いびつな友情? 臆病な恋? 不器用さゆえに孤独な二人の関係を描く文芸賞受賞第一作。

確か僕が中学生ぐらいの時にテレビで紹介されてて。その時からなんとなく気になっていた作品をやっとのこと読了。知ったのは十二年前なのに読むまでに随分時間が空いてしまった。今更読もうとなったきっかけとしては。やはり「火花」の芥川賞受賞が話題になったからですかね。それで僕が読もうと思っていたこの本も芥川賞受賞作品だったなぁと思い出したわけです。

で、本編の感想。今作はなんというか、女子高生のありふれた人間関係と歪んだ感情の話だと思う。作者が当時十代だったこともあってか。高校生だった頃の空気とか雰囲気を鮮明に思い出させる程に描写がリアルだった。僕がどちらかといえばハツ側の人間だったから心情移入出来る部分も多かったと思う。自分とその周りの人間を客観的に、どこか冷めた目線で観て。自分だけは特別な存在になったような気がしていて。でも実際そんなことはなくて。本当は自分が誰よりも幼くて、弾かれた存在だってことを知ってるのに。それを認めたくない。それがハツのスタンスなんじゃないかなぁと。そしてそれをにな川に見透かされて、気を使われたりして。自分の同類だと思っていたにな川が、自分よりも格上に視えたりして。それが悔しくて、でもやっぱりそれを認められなくて。それが暴力的な感情に繋がってるんじゃないかなぁと。恋ではなく、友情でもなく。嗜虐を含む歪んだ感情。好きでも嫌いでもないのに妙に気になってしまう……そんな感じかな。

全体通して見ると、特に盛り上がりのある話でもなく。どこにでもいる普通の女子高生の日常……というか人間関係を描いただけなんですけど。さっぱりと読めて悪くないかなと。意外と退屈しなかったし。

あとはまぁ、僕が百合ストだからなのか。ハツのにな川に対する感情は清廉なモノでも正当なモノでもない。ホントに曖昧で白黒つかないままに消えてしまう感情に思えるんですが。ハツの絹代に対しての感情の方はどちらかというと恋愛感情に近いんじゃないかな、と。勿論、近いというだけで断定はしません。分類的に友情ですから。ただ、百合的に美味しくいただけてしまうというわけです。友情百合……いいですよね。大好きですよ、僕は。ハツと絹代の話もこの物語を構成する大事な骨子だと思うんです。そこだけ取り出して読んでも充分面白い。中学時代の友人が新しいグループ作って離れていくのって寂しいですよね……。自分も新しい人間関係を構築しなきゃいけないのかなとか思ったりして。


満足度:★★★★☆
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「空ろの箱と零のマリア7」、感想。

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あらすじ
マリア。僕は君を、二度と離さない――。

「さあ、最後の対決だ。星野一輝くん」
“O”は手を広げる。一輝をはっきりと見据え、その美しくも醜悪な顔を歪める。
「出来損ないの世界で幸せに過ごすといい」
 星野一輝の無謀で孤独な闘いは続く。
“ゼロのマリア”を取り戻すために。
“O”が創り上げたこの世界は、あの時の“箱”と同じだ。3月2日という中途半端な時期に来た転校生から始まった“繰り返し”を司る箱。
――マリア。僕は、箱に囚われた君を必ず取り戻す。
そして、結末がやってくる……。


もう最終巻出ないんじゃね?と思ってたら出ました。この作者終わらせる気ないだろなんて思ってたのに出て逆にびっくりだよ。正直6巻の内容とか全然覚えてなかった。だって読んだのもう二年と五ヶ月前だよ?覚えてる訳ねぇ。まぁ、でもそれはいつも通り。読んでる内に思い出せたからいいんだけどね。

ってことで本編の感想。今巻では1巻の内容を彷彿とさせるループモノです。ただし、1巻の時以上に過酷で、魂を擦り切らせるもの。幸福な嘘で固められた世界から抜け出すために、一輝はその幸福を徹底的に破壊し続けます。自分が幸福を感じるものを全て消し、自分から不幸へと突き進んでいき。最後は人間としての機能を無くしてまで“ゼロのマリア”を求める。

あらゆるものを犠牲にしてでも、最愛の人の願いを壊してでも。その人の幸福を求める。一輝のその一貫したスタンスが此方の心情を揺さぶりカタルシスをもたらしますね。今巻は一輝の絶望と渇望が心に染み込む話でした。

親友も好きだった人も犠牲にして、更にループの世界で己と他人を殺し尽くし。罪悪感に押しつぶされても。それでも、掴みたいものは唯一つ。彼女の手だけ。

一輝のブレなさとか一途さに心打たれる話でした。どんどん狂っていって、最終的に壊れて。人間と言えるものじゃなくなっても。目的だけは失わなかった。

“音無彩矢”という化物の幻影に惑わされ続けたマリアが、その憧憬から解放され。空ろの箱から始まった物語がゼロのマリアに回帰する__。

此方の感情を幾度も揺さぶってくるこの手法は、話の作り方として優秀な例だと思います。

という訳で最終巻でした。御影さん。六年間お疲れ様でした。これから一般の方に移るとのことですが。機会があったら手にとってみようと思います。


満足度:★★★★☆

「犬の心臓」、感想。

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あらすじ
吹雪の夜、病院の匂いを身にまとった優雅な紳士と出くわした野良犬は、満ち足りた生活を送ることになるが…。奇怪な想像力が炸裂するアンチユートピア小説、復刊。

僕個人としてはロシア文学はどちらかというと苦手なのだけど。SF小説自体は割りと好きだし、犬の心臓も有名な作品の一つだと考えているので読まない訳にもいかないよなぁということで読ませて頂きました。

人の脳下垂体を犬に移植するとかいうおもっきしグロテスクなあらすじに惹かれて……というのもアレですが。兎に角キャッチーなあらすじであることには変わりないです。その犬がその後どうなるのかなーと思いつつ読み始めた訳です。

で、前半はニヒルだけどどっか憎めないシャリクの視点で物語が進んでいきます。人間以外を視点に据えた物語というのは、日本でも昔からありましたね(宮沢賢治とか夏目漱石とか)。普通なら犬がこんなにまともな思考が出来るのか?という固定概念を抱きますが。読み進めていけばそんなもの直ぐに氷解していきます。物語は面白ければ良いわけですから。

シャリクの視点で進められる前半部分は素直に面白いですね。シャリクのキャラがいいというか、親しみ易くて癖になります。しかし後半になると雰囲気は一変します。和やかだった空気が一気にオドロオドロしいモノになります。

脳下垂体と睾丸を移植する手術の描写自体グロテスクなんですけど、その後のシャリクが人間に近付いていくところも不気味です。若返りの為の実験で、犬を人間にしてしまう。後半のシャリクがシャリコフになり、人権を主張し教授に反抗するようになっていく所は革命の暗喩なのかなと思ったり。僕としては食わせて貰ってるんだから大人しく言うこと聞いておけよと思ったり。素直で可愛げがあった分シャリクの方がいいですね。後半は正直陰鬱としていて苦手です。こっちがメインの筈なんですけどね。シャリコフの性格が気に入らないせいかあまり楽しめなかったのかな、と。

にしてもシャリコフという人物にどの程度シャリクの部分が残ってるんでしょうね。人格的には脳下垂体の主がメインだとは思うんですけど。途中までは確かにシャリクの部分が強かった気がするので。いつの間にかシャリクの部分が塗りつぶされてしまったんでしょうか。

最後の方はシャリコフからシャリクへと推移していってますが、あれはシャリクの脳下垂体を移植しなおしたってことでいいんですかね。僕はそういう認識で居るんですけど。

最後に二つ程。個人的に気になったことなんですが。「セヴィリアからグラナダへ」っていうのがよく分からないんですよね。調べても何のことか出てこないし。あと、人物の名称が所々変わるので混乱しちゃいますね。ロシア人の名前は唯でさえ馴染みがないんですから。


満足度:★★★☆☆

「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん ―幸せの背景は不幸―」、感想。

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あらすじ
御園マユ。僕のクラスメイトで、聡明で、とても美人さんで、すごく大切なひと。彼女は今、僕の隣にちょこんと座り、無邪気に笑っている。リビングで、マユと一緒に見ているテレビでは、平穏な我が街で起こった誘拐事件の概要が流れていた。誘拐は、ある意味殺人より性悪な犯罪だ。殺人は本人が死んで終了だけど、誘拐は、解放されてから続いてしまう。ズレた人生を、続けなければいけない。修正不可能なのに。理解出来なくなった、人の普通ってやつに隷属しながら。―あ、そういえば。今度時間があれば、質問してみよう。まーちゃん、キミは何で、あの子達を誘拐したんですか。って。第13回電撃小説大賞の最終選考会で物議を醸した問題作登場。

最近の入間は割りと好きだし、入間の処女作であるみーまー気になってたのに読んでなかったなーということで今更読了。

なんっつーかな。僕個人としてはこういうジメジメしてて狂った感じの話は好きだし、話の流れは悪くないと思うんだけどね。いかんせん文章が読み辛い。西尾の影響モロに受けてるなーって感じがする。それでも西尾の文章自体は別に嫌いでもないし読める方なんだけどね。この頃の入間の文章は完全に西尾の劣化って感じがする。ここから今の文章になったのかー。よく矯正したな。雰囲気とか設定も好きだし上手く魅せたなーとは思ったんだけどね。続きを読むかは微妙。みーくん……いや、みーさんの本名は気になるけどさ。


満足度:★★★★☆
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Author:東 京人
感想は主にラノベが中心。ライトノベルとは本格的に読み始めて9年の付き合い。初めて読んだのは12年前くらい。好きなジャンルは百合とゼロ年代だけど、面白そうなら何でも読む。基本文を書くのも妄想するのも何かを作ることも好きなので、自分で小説とかも書いてたりする。

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