「オーブランの少女」、感想。

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あらすじ
色鮮やかな花々の咲く、比類なく美しい庭園オーブラン。ある日、異様な風体の老婆に庭の女管理人が惨殺され、その妹も一ヶ月後に自ら命を絶つという痛ましい事件が起きる。殺人現場に居合わせた作家の“私”は、後日奇妙な縁から手に入れた管理人の妹の日記を繙くが、そこにはオーブランの恐るべき過去が綴られていた。―かつて重度の病や障害を持つ少女がオーブランの館に集められたこと。彼女たちが完全に外界から隔絶されていたこと。謎めいた規則に縛られていたこと。そしてある日を境に、何者かによって次々と殺されていったこと。なぜオーブランは少女を集めたのか。彼女たちはどこに行ったのか?楽園崩壊に隠された驚愕の真相を描いて、第七回ミステリーズ!新人賞佳作に入選した表題作ほか、“少女”にまつわる謎を描く全五篇を収める。

某スレで名前が上がってて気になったので購入。基本的に僕が買う百合小説の情報源ってほぼ全て某スレな気がするよ。

ってな訳で感想。一般小説で短編集って形式だと「リリィの籠」以来かな。といっても、今作では露骨に百合って感じの作品は表題作の「オーブランの少女」と「片想い」だけだったけどね。全体としてみるとあらすじ通り、少女にまつわるミステリー集ですわ。

「オーブランの少女」はどこかおどろおどろしく鬱屈とした雰囲気の作品だったけど、そんな中でもオーブランの庭の情景と少女たちの戦いの記録が鮮烈に残る作品だった。大雨とトマトはちょっとコメディチックなミステリーなお陰か。穏やかな気持ちで読めましたね。雨の日とかにサテンで読みたいタイプの話。

……って感想が全然浮かばねぇ! 記事更新自体一ヶ月ぶりくらいだし、着実に仕事に心を壊されていくのを感じる。感情を持っていたら生き残れない世界だからな。社会は厳しい。以上です。以上。終わり。


満足度:★★★☆☆
そこそこ面白かった筈なのに今の僕には響かないぜ。
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「カラフル」、感想。

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あらすじ
生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。

カテゴリー的には児童文学に近いかな? ライトノベルとも親しいジャンルだし、僕としては好みの梗概だったので手を出してみた次第。

まぁあらすじを観る限りゼロ年代作品の中でもとりわけアダルトチルドレンとしての傾向が強い作品といったところですが。今作は人生やり直し物語です。異世界転生でも過去に戻るでもなく。ホームステイという形で周りの人間や自分自身を見つめ直し、変えていく物語。

先ず僕がこの作品で巧いなぁと思ったところは構成なんですよ。最初プラプラに酷い環境だって脅されてた割には家族は皆普通っぽいし(母親の不倫や父親の偽善。満の意地悪な態度とかも踏まえて)。なんだか肩透かしを食らったなぁなんて思ったんですが。それもその筈で。母親も父親も満も、自殺前の小林真からすれば最悪の人間として刻まれてますが。それを別方面。他人事として改めて見てみると、色々な事情や本質が視えてくるんですよ。

周りが定める小林真という人間。小林真が定める周りの人間。それらが悪い方向に噛み合ってしまったが故の自殺でしたが、最終的に相互理解を得て。人間が織りなす色は白黒だけじゃなく、もっとカラフルなものだと理解するんですよ。

人生やり直す系の話は数多あれど。過去の記憶もなく、かつ手遅れになった状態からのスタートっていうのは斬新でしたね。意識のもちようで、世界は如何用にも色を変える。

この作品のテーマとしては「自分が見ている側面だけが人間の全てじゃない」ってとこですかね。だからこそ。時には自分を客観視することも大切なのかもしれません。

だって、他人事になれば、人生だってやり直せる。

つまりはそういうこと。


満足度:★★★☆☆

「サブマリン」、感想。

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あらすじ
『チルドレン』から、12年。家裁調査官・陣内と武藤が出会う、新たな「少年」たちと、罪と罰の物語。

皆様あけましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします。さて、明けてしまいました。2017年。去年はラノベ10選を出来なかったのが心残りといえばそうですが、あまりラノベを読んでなかったのでしょうがないですね。僕もそろそろラノベ卒業なのかなぁ。

という訳で。新年一発目。トップバッターを務めるは一般文芸です。前回チルドレンを読んで、陣内というキャラを気に入ったので。また陣内さんの出番が読めるとなれば買うしかないでしょう。

今作では前作以上に武藤と陣内さんの会話のテンポが自然で、小気味良い感じでした。でもそれは陣内さんが前作よりも丸くなったというか。大人しくなったからかなぁなんて。相変わらず破天荒な人柄ですけど、割りとまともなこと言ってますしね。ただひとつ気になったことといえば、僕はどちからかといえば陣内さんの相方は鴨井だと思ってるので。鴨井の出番がなかったのは残念かなと。優子や永瀬は出ていたのに。もしかして死んじゃってたり……?

さて、鴨井の心配は一旦置いておいて。今作のメイン。というかテーマのようなものはを語っていきましょう。今作のテーマは「加害者にも事情があるということ」「復讐の善悪」の2つでしょう。チルドレンよりも一層少年事件というものに深く切り込んだテーマっすよね。加害者が悪いのは当然だけど、それにだってやむを得ない理由があるかもしれない。だからこそ紋切り型に処理する訳にもいかない。この話を読んで秋葉原通り魔事件を思い出しました。あの事件の加害者も、家庭環境によって歪められた被害者ですから。勿論加害者側は罪を償わなければいけないことに変わりはありませんけどね。世の中ってのは理不尽なんです。悪いことが連鎖して、被害は広がっていくんっすよ。

そして今巻の事件で加害者側にあった事情は復讐というもの。被害者となった友人は死んだのに、加害者の元少年はのうのうと暮らしている。そんなの許せませんよねっていう。実際は加害者側も罪を背負い懊悩と生きている訳ですが。そんなの被害者側は知るわけないんですよ。そしてその被害者側が今度は復讐のために加害者へと転じる。まさに負の連鎖です。

悪人に報いを与えては何故ダメなのか? 悲痛な叫びだと思います。でも切実ではあっても正しくはないんでしょうね。今巻の話は若干のやりきれなさを覚える、罪と罰のお話でした。加害者の人間は幸せになっちゃいけないのか。被害者の人間は怒りを噛み殺して生きなければならないのか。少年法について考えさせられるお話です。


満足度:★★★☆☆
来年はラノベ読むぞ~。

「チルドレン」、感想。

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あらすじ
「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々―。何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。

久々にラノベ以外の小説読みました(ラノベ自体も最近はあんま読んでないけど)。ということで、今回はミステリー小説では結構な有名所である伊坂幸太郎氏の作品。舞台が僕の地元仙台ということで、前々からちょっと気になってはいたんっすよね。

そもそも僕は、ミステリーモノ自体あまり好んで読まないのだが。この作品は別にミステリーだからと気構えなくても充分楽しめるものだった。

今作は『陣内』という男を軸に、そのキャラクターがどんな人間か? を魅せつつ。彼に関わった人間の事件や日常が描かれている。第一話の「バンク」では、陣内以外でも永瀬や鴨居といったメインキャラクターを登場させ。陣内の破天荒で我儘だが、物事をいい意味でも悪い意味でもぶち破ってしまう性質。そして永瀬の聡明さを鴨居というどこまでも普通の一般人視点で描いている。バンクのトリック自体には驚いたものだが、やはりそれすら陣内のついでで。三十万円銀行から盗んでしまうという予想外の行動に霞んでしまう。

そして第二話の「チルドレン」。今作の表題作である。この話は武藤という陣内の後輩視点で描かれるのだが、なんといきなり十二年後の話なのだ。しかも陣内が家裁になっていて、有能だというのだから驚かされる。この話では更に、陣内さんが親父について吹っ切れているという事実も出てくる。

続く「レトリーバー」は永瀬の彼女、優子視点である。ここで語られるのも、陣内という人間の豪胆さだ。そしてその次のエピソードである「チルドレンⅡ」で時期は再び現代(?)。チルドレンから一年後へと繋がる。僕的にはこの話が一番好きだ。この話に限っては陣内がどうこう関係なく、親の愛情の発露や。情けないとこを見せて失望させてしまった息子への、父親なりの意地の張り方。カッコつけ方とか。そういうのを感じた。まさに父親がカッコイイ話だ。

そしてラスト、「イン」。時はバンクから一年後まで遡り。ここでやっと陣内が父親のことについて吹っ切れたシーン。その詳細が語られる。なにげに最初から出ていた謎で、全体として「親」というものがテーマになってる気もするので。ミステリーという意味ならこの事実こそが物語を牽引してきた最大の謎である。まぁ、その謎解きの真実は。ややこしいものでもなんでもなく。陣内なりの暴力的な解決法なのだが。

はい、という訳でチルドレンの感想でした。一般小説ということでなんか感想も硬い感じになりましたね。陣内が出て来る話がまだまだ読んでいたいよ~。

伊坂くんの小説。他にも読んでみるか悩みますね。正直充分面白かったんですけど。一応ラノベブログなんで年内中に何かしらラノベ読まねばと……。


満足度:★★★☆☆

「リリィの籠」、感想。

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あらすじ
絵のモデルを頼んだ加菜に、憧れにも近い感情で惹き付けられていく美術部員の春―生意気な女子生徒―由貴に、こっそり大切な思いを打ち明けてしまったえみ先生―容姿の劣る親友・実枝に彼氏ができ、穏やかでいられなくなる里加―女子高を舞台にキラめく感情の交差を描き出した、書下ろし1編を含む全7編。

前々から百合小説界隈では取り上げられてた作品。やっと購入して読みました。作品の舞台が地元の知ってる高校(多分)ということもあってか、ちょっとだけ親近感もあったり……?

で、感想。全体通しての意見なんですが。これは百合作品というより正確には「女同士の話」といった方が的確かもしれません。女同士特有の関係性とか雰囲気とか。面倒くさい感情を切り取って見せつけるような作品かなーと思いました。

この短編集ではあまり百合っぽくない話からほのかな百合の芽生えを感じさせる作品。そしてリアルな百合を描いた作品がありましたが。いわゆる男性向けの百合とはまた違った空気感だなと思いました。萌えたり悶たりといった感情を抱く話(ゆうちゃんはレズ)はありましたが。メインはやはり恋愛部分ではなく女子高生特有の心裡にスポットを当てたのかなと。


満足度:★★★☆☆
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Author:東 京人
感想は主にラノベが中心。ライトノベルとは本格的に読み始めて9年の付き合い。初めて読んだのは12年前くらい。好きなジャンルは百合とゼロ年代だけど、面白そうなら何でも読む。基本文を書くのも妄想するのも何かを作ることも好きなので、自分で小説とかも書いてたりする。

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