【宣伝】星に願いを、人形に夢を

あらすじ
戦争の為に作られた駆動人形、スピカ。
他の駆動人形とは一線を画すプレアデス型の一番機であるスピカは、
自身のマスターが殺され、世界との楔が断たれたことにより廃棄される。
そして、次にスピカが目覚めたのは――人間が消え、朝が訪れなくなった世界だった。
そんな世界でさまようものは、死人のような駆動人形のみ。
しかし、スピカを再び目覚めさせたのは、何故か取り残されてしまった人間の少女・アリスだった。
一人だけ取り残された少女と、人間を目指して作られた人形。
二人は常夜の世界で旅をする。星の終焉と、夢の果てを見届ける為に――。
これは、人間になろうとした人形の葛藤と、魂の慟哭の物語。
以前「GA後期三次落ちしました。」の記事で軽く触れましたけど、拙著『星に願いを、人形に夢を』を同人誌として発売することにしましたー。おーぱちぱち。
素敵なイラストはびよんさん!
キャラデザ段階から何回も衣装の描き直しや別パターンも描いていただいたりして、表紙も細かい部分まで修正していただいて……兎に角色々とこちらの意見を汲んでいただいて感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。
少女と人形が、生物が全て消えた常夜の世界を巡るSF百合旅モノ。
発売日は12月19日! めちゃくちゃ気合入れてかいたので、是非読んでいただければ幸いです。
・Amazonページ
・サンプル
AmazonレビューでもブログでもTwitterでも、感想いただけると嬉しいです!
スポンサーサイト
「恋の話を、しようか」、感想。

あらすじ
地方都市の冬。高校生の桧山ミツルは、予備校で顔も知らない三人の生徒たちと同じ部屋になり―テスト中に停電が起きた。なんでもない、一度きりの偶然のトラブルをきっかけに四人は出逢い、惹かれあっていく。見上げれば灰色の空から雪…。クリスマスイブの夜、神野若葉は言った。「信じていたら、奇跡は起きるんじゃないかって…でもそれを信じていなかったら、もし起きたとしてもそれは…偶然。たった一度だけの悲しい偶然」。一生懸命未来に悩み、精一杯恋をする、十七歳。ノスタルジックな純愛ストーリー。
たまには純粋な男女の恋愛モノ読みたいなぁ~というお気持ちになり手にとった一冊。あらすじ見て前から気になってたけどやっと読んだよ。
発売が2009年だからってのもあるけど、主人公のバックボーンや将来への不安なんかもテーマの一つに組み込まれてて、まさにゼロ年代らしい作品。
各キャラが抱えた将来や進路への不安に対し、ミツルを中心に“解決”というよりも“向き合っていくこと”を目標に描かれていたのが良かった。将来や進路の問題っていうのは、すぐに解決出来るものじゃないからね……。
奇妙な縁で集まった四人が、それぞれに問題に向き合って恋をしていく――っていうあらすじだけど、兎に角主人公のミツルが良いやつなんよなぁ。誰かのために精一杯というか、打算とか理屈抜きに行動できる読んでて気持ちいい性格なんよ。
恋愛モノというよりも青春小説としての趣が強いんだけど、だからこそ彼らの恋の行く末が気になる作りでもある。全員がそれぞれに片想いをしていて、全員が全員の幸せを願っている。
ミツルは若葉が好きな人が自分じゃないと知っても、若葉が好きだからこそと市川の試合を観に行くように告げ、自分のことを好きだというかずみのために、空港まで駆けつけて「かずみの絵が好きだ」と彼女の夢と決意を後押しする。
自分の好きな人がたとえ自分を好きでなくても、幸せであって欲しいと全力で願う。こんな純粋で切な想いがあるか?
矢印が交わるかどうかはわからないけれど、この四人はきっといつまでもずっと一緒にいるのだろう。居てほしいと思う。
そして、再会した時今度こそ、恋の話をして欲しい。
何か大きな出来事や、印象深いシーンのあるお話ではなかったんだけど、だからこそ純粋に彼らの青春と日常が感じられて良かった。
満足度:★★★★☆
「忘れえぬ魔女の物語」、感想。

あらすじ
今年進学した高校の入学式が三回あったことを、選ばれなかった一日があることをわたしだけが憶えている。そんな壊れたレコードみたいに『今日』を繰り返す世界で……。
「相沢綾香さんっていうんだ。私、稲葉未散。よろしくね」
そう言って彼女は次の日も友達でいてくれた。生まれて初めての関係と、少しづつ縮まっていく距離に戸惑いつつも、静かに変化していく気持ち……。
「ねえ、今どんな気持ち? 」
「ドキドキしてる」
抑えきれない感情に気づいてしまった頃、とある出来事が起きて――。
恋も友情も知らなかった、そんなわたしと彼女の不器用な想いにまつわる、すこしフシギな物語。
第12回GA文庫大賞金賞作品にして、色々と宣伝に気合が入っており(まぁ金賞なんで当然ですが)、百合スキーの間でも注目されていた今作。最近のGAくんマジで百合に対して寛容じゃない? 百合好きの編集が部内で権力ある立場になったか、GA内で「百合は売れる」という認識が実績と共に上がってきてるのか……どちらにせよ良い傾向だと思う。電撃くんもなんだかんだで百合推しはしてるのかな? と思うんだけど、それでもどこか杜撰だったり、社内で統制取れてない感じするから、まぁ僕としてもGAには頑張ってもらいたいですね。
とりあえず最初に言っておきますが、今作は前評判通りしっかりと百合です。あくまで百合風味、とかではなくきちんと百合です。最近は公式で「百合です!」と宣伝しておいて実際そんなことはない……という事態は減りつつあるので、そこらへんはあまり心配してませんでしたが、念の為。
内容に関していえば、ループもののSFガール・ミーツ・ガールといった趣で、古の百合ラノベ読みには「紫色のクオリア系」といえば伝わるかもしれん。というか、実際作者も『紫色のクオリア』を意識しているのか、作中でも何気なく出てきていたりする。
終盤の展開というか、畳み掛け方的にはやはり言及しておかねばならぬだろう。
ただ、正直なところをいってしまうと、ループもののSF百合傑作である『紫色のクオリア』と比べると、今作は凡作……といったところだ。
なんだかんだループネタのSFは数多の作品でやり尽くされているものであり、それらのものとどれくらい差別化出来るか……というのがこの手の作品の課題であるが、そういう意味では「綾香のみが何日かある“今日”を覚えている」というのは面白い設定だったと思う。しかし、優花や未散の魔女設定は少し浮いてるようでもあり、ラストのご都合主義的な収束には白けてしまう部分もある。
なんだたっら、あまりにも優花が健気すぎるので、もう優花選んじゃえばよくね? とも思ってしまった。それはそれで後味が悪い部分があり、やはり賛否両論ありそうだが……。
あと、もう一つ引っかかったところを述べるならば、綾香のキャラはなんというか、若干人を選びそうだなとは思う。素直に可愛げがあったり、共感出来る部分のあるキャラではないし、最後まで好きにはなれなかった。だからといって嫌いなわけではないが……まぁ普通だ。
総評すると、百合モノとしてきちんと恋愛感情の部分は描けており、萌えられるシーンもあり、途中優花を救うため必死になるところや、終盤の100万回10月5日を繰り返す展開なんかも、王道ながら面白い話ではあったと思う。
だが、“この物語だけの突出した何か”は見つけられなかった。
商業作品として最低限以上のクオリティはあるものの、金賞に値するかと言われると微妙なラインかもしれない。
満足度:★★★☆☆
2巻の発売も決まってるけど、こっからどんな話を展開するというのだろうか……。
そういう意味では気になるけど、正直詳細なあらすじチェックするだけで満足しそう。
「エンドブルー」、感想。

あらすじ
山中の小屋で陶芸に勤しむ岩谷カナは、一年前に知り合った新城雅と、町でちょいちょい会っている。カナは雅に膝枕をして世間話をするだけで、なぜ会おうと言われるのかと思っていたが、ある日、雅がカナのもとを訪ねて来て──。
実家のお茶屋を継いで、このまま一生を終えるのも悪くないと思っていた矢先、わたしの前に現れたのは姪だった。高校生で兄の娘。そんな女の子がわたしの彼女になって、一緒に過ごしていると、昔の知り合いを連想する。鳥のような、でも飛びもしないで走ってばかりいる鳥のような彼女のことを──。
少女たちの鮮烈な想いが弾ける作品集。
『クロクロクロック』と『少女妄想中。』の後日談からなる短編集。週報登録時のタイトルは『入間人間 百合短編集(仮)』ではあったけど、後に『エンドブルー』へと変更された。変更された時はクロクロクロックの方が百合以外の短編なのかな? と思ったけど、蓋を開けてみれば全部百合でした。
さて、本作のうち『ガールズ・オン・ザ・ライン』と『雅な椀』はクロクロクロックの後日談です。
僕はクロクロクロックは未読なので、登場した両名――カナと雅についても、その背景もよくわからんかったが、それでも2作とも百合として十分に楽しめた。他人に対して関心が薄く、ボケたところのあるカナと、そんなカナに執着する殺し屋さんの雅。あんまり他人に関心がない、といっても、しまむらさんみたいに一歩引いてる感じではない。多分カナは、しまむらさんほど器用じゃない。自分が他人の人生に関わったり、他人に影響を与えることが怖い……という意味で、深く入り込まないようにしているのだろう。でもそんなカナが、雅の人生に踏み込んでいき、雅もまた、カナのためにも死にたくないと願う。互いに難のある性格だけど、それでもうまくやっていける気がするよ。
あとね、カナが一番しまむらさんと違うなぁと思うのは、器用じゃないからこそ、感情がストレートに出て、雅からの触れ合いやキスにドギマギしちゃうのが可愛いんだよね。まぁ今のしまむらさんも安達相手に照れたりするけどさ、カナほど露骨じゃないから。ある意味しまむらさんと安達足して2で割ったような造形のキャラなのかも?
次に『少女妄想中。』より『光る風の中』と『今にも消える鳥と空に』。
『少女妄想中。』での『銀の手は消えない』みたいに、夢と現実が溶け合ったような不可思議な世界に迷い込んだ芹とアオ。ただし、芹は現在の(40代の)姿で、アオは芹と別れた時の姿で。
この世界は誰のための世界なのか、と考えると、個人的には芹寄りだなと思いつつ、やっぱりアオにとっても必要な世界だったんだなと思う。
互いにちゃんとお別れを言うために。自分が今いるべき場所を再確認するために。
芹には姪が、アオには彼女がいる。互いに誰かの背を追いかけていた二人が、やっと立ち止まる場所を見つけたんだ。
芹が過ごした二十年。アオが消えてからの二十年は、芹にとって意味あるものになったんだ。
相変わらず茫洋とした話ではあったけど、中々エモかったぜ。
ところで今の芹ちゃん(40代)の頃のアオ達のエピソードが描かれんのがちょっと気になったり……ほんとに死んでたりしないよね?
満足度:★★★★☆
芹ちゃんと姪のお話はまた何かしらで読みたいなぁ。あと虹色エイリアンの話も読みたかったわ。一応カナエは『少女妄想中。』とも関わりあるし。『クロクロクロック』のカナ×雅コンビも可愛かったから、ちょっと本編も気になってる。でも本編ではいうほど二人の絡みなさそうだしなぁ~。
「涼宮ハルヒの直観」、感想。

あらすじ
おかえり、ハルヒ! 超待望の最新刊、ここに登場!
初詣で市内の寺と神社を全制覇するだとか、ありもしない北高の七不思議だとか、涼宮ハルヒの突然の思いつきは2年に進級しても健在だが、日々麻の苗木を飛び越える忍者の如き成長を見せる俺がただ振り回されるばかりだと思うなよ。
だがそんな俺の小手先なぞまるでお構い無しに、鶴屋さんから突如謎のメールが送られてきた。
ハイソな世界の旅の思い出話から、俺たちは一体何を読み解けばいいんだ?
天下無双の大人気シリーズ第12巻!
9年半以上ぶりのハルヒ新刊。もはや久しぶりすぎて驚愕の内容とか全く覚えてないぞ。
まぁ、幸い短編集的な感じで大筋の話は(多分)進んでないが……。
正直ね、直観が出るって話が流れてきた時は、普通にフェイクだと思いましたよ。今まで音沙汰なかったのに急になに? って感じだし。こんだけ経つとね、待つとか待たないとかじゃなくて、存在を忘れてるのよ。
9年以上も新刊待たせといて受け入れられるタイトルなんてそうそうないです。といっても、驚愕時以上にもう話題性というか、賑わいは薄れてしまいましたけど……。
と、本編と関係ない前置きをしてしまいましたが、今巻の内容としては短編、中編、長編の短編集(?)になります。
実を言うと、『鶴屋さんの挑戦状』に入るまでめっちゃ文章読みづらく感じて、中々読み進められなかったんだよね。慣れるとスルスル読めちゃうけど。西尾と同じものを感じるな。
短編の『あてずっぽナンバーズ』は割と今の季節感にあってるのもあり、読むタイミングとしてちょうど良かったな。内容としては初詣に来たSOS団のちょっとした一幕。というか、ハルヒとキョンのイチャイチャ(?)を眺める話。一応ミステリ的な要素もあり、そういやハルヒってジャンル的にはSFミステリだったなというのを思い出す。
中編の『七不思議オーバータイム』は、久しぶりにハルヒシリーズを読む読者に向け、「そうそうハルヒってこんな雰囲気の話だよなぁ」というのを説くような内容でもあったな。“T”という新キャラを交えつつ、SOS団の性格や思考を、“学校の七不思議の創作”というフックで魅せるっつーもので、部室内での空気感も改めて思い出せたよ。
長編の『鶴屋さんの挑戦状』。ミステリ談義から始まり、終始メタ的にミステリーの手法を見せるようなお話であった。二転三転するオチで、部室内で完結する話にもかかわらず中々楽しめたよ。僕はミステリ造詣がないもんだから、トリックは何一つ解けなかったけどな。しかしミステリにおけるハルヒの能力はなんとも厄介で、探偵役としてはもっとも不適切な存在だな。物語内だけでなく、観測する読者側にまで影響があるかもなんて言われたら、『古色迷宮輪舞曲』を思い出しちゃうよ。
つか、鶴屋さんの見つけた謎金属やらハルヒの無意識が自意識を上回ってるかも? なんて話も出てきたりして、不穏な伏線にしか思えんのだが……。
今年中に続き出す気あるなら頼むぜ、谷川先生。そしたら僕も驚愕読み返すから……。というか、マジでこの勢いで今年中にハルヒの新刊出るなら、ハルヒ三期もワンチャンあるぜ? なんだかんだ、中学時代ハルヒにハマってた一人だからさ、また再興するなら追いかけたいっつーか……。ま、そんな感じでよろしくな。あまり期待せずに待ってるよ。次はせめて4年以内にな?
満足度:★★★☆☆